TL;DR
- 病気のリハビリとして走り始めた
- MAF Method に基づいて走るようにした
- ランニングが習慣化した
7 月: 歩き始める
腰痛のリハビリとしてウォーキングを始めた. 7 月末の話である. 当時は腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛と思っていたが実際は仙腸関節障害が原因だった. このへんの詳しい話は『2024 年の振り返り (病気とリハビリ)』にて.
かくして毎朝 5 時に起きて歩く日々が始まった. 夏の早朝という比較的涼しい時間帯に蝉の合唱を聞きながら歩くことは気持ちよかった. いかんせん十年単位で運動と縁のない生活を送っていたため,まずは運動に慣れることを目標とした.
8 月: 走り始める
半月ほど歩くと次第に走りたい欲求が湧き上がってきた. せっかくなら歩くより走った方が身体が鍛えられるだろうという思いがあり, 8 月のお盆明け頃からウォーキングをランニングに切り替えた. 最初は 3 km 走っただけで脚が筋肉痛でパンパンになり,自身の身体の錆び付き具合を感じた.
走る上で厄介だったことの一つは自分がかつて競技者として運動していたことである. 正確には,自分が競技者時代に持っていた意識を未だに手放せないでいたことが厄介であった. 走るとはすなわち息を切らせて高負荷で走ることであり,身体に厳しい負荷をかけることで超回復によって強くなるという意識があった.
現在の私は競技者ではなく,そもそも運動の目的はリハビリである. それにもかかわらず錆び付いた身体に鞭を打って走っていた. 高負荷で走ると筋肉はもちろん関節や腱にもダメージがあり,結果として膝や足首などを痛めてしまった.
ここで,自分の意識を変える必要があると感じた. 過去の (時代遅れの) 経験から引っ張り出してきた高負荷トレーニングは取りやめ,身体に優しい運動を心がけるべきと考えるようになった. 大切なことは運動を継続することであり,そのためには怪我をせずにランニングを長く楽しめるようになることが肝要と思い至った.
9 月: MAF Method を知る
過酷なランニングではなく無理せず継続できるランニングを目指して調べていたところで MAF Method を知った. ざっくり言うと低強度トレーニングで強くなる方法論である. 詳しくは https://philmaffetone.com/method/ から辿れる情報を参照されたい.
MAF Method は運動だけでなく食事や休息など生活上のあらゆる行動を統合的に扱っているが,すべてを取り入れることは難しいため運動のみ試してみることにした. 私の理解では,ランニングにおいては激しいトレーニングをせずとも,息切れせずに会話できる程度の心拍数を維持して走ることでも十分に成長できるとのことだった. 具体的な心拍数を定める計算式は原典に任せる.
試しに自分の目標心拍数を維持しながら走ってみると気持ちよく走ることができた. 当然ながら疲労は溜まるが怪我をするような感覚ではなく,かつ無理せず継続できそうでもあり,自分が求めていたランニングの方針に出会えた瞬間だった. 以降, 9 月下旬からは MAF Method に基づき目標心拍数を維持しながら 1 回のランニングで 1-2 時間走る生活を始めた. そしてその生活は本稿執筆時点の 12 月末まで続いている.
毛細血管,関節,腱を鍛える
筋肉は簡単に鍛えられる.それこそ 3 ヶ月もあれば目に見える変化が現れる. 一方で,毛細血管 (心肺機能) や関節や腱は鍛えづらい. これらは一朝一夕では発達しないため,長い期間をかけて少しずつ少しずつ育てていく必要がある.
MAF Method で走り始めてから約 3 ヶ月が経過して 10 km は当たり前に走れるようになった. そして,さらに長い 15 km や 20 km も走れるようになったが,このとき疲労を感じる身体のパーツは筋肉ではなく関節や腱である. また,距離が長くなると心拍数あたりのペースが落ちることから血流にも負荷がかかっていると思われる.
つまり,現状では筋肉の発達に対して毛細血管や関節や腱の発達が追いついていない状態と言える. 8 月に走り始めたときには筋肉痛でパンパンになった脚も 12 月現在は筋肉痛になることはない. 一方で,毛細血管や関節や腱は成長が遅く,長距離ランニングでは筋肉よりも先に音を上げる.
MAF Method でゆっくり走ることは筋肉にとっては退屈かもしれないが,鍛えづらいパーツを育てるために今後も低負荷長時間のランニングを続けていく.
12 月末時点のランニングスペック
月間走行距離
月に 200 km を走る生活が習慣化してきた. そして 10 km を長いと感じなくなった. 最長走行距離は 22 km だった.
月 | 距離 (km) |
---|---|
9 | 143.6 |
10 | 206.8 |
11 | 207.6 |
12 | 202.8 |
ペースと心拍数の関係
下表が示すデータは,気温 0-5 度,日差しなし,無風,ロード (勾配なし) の環境を前提とする.
ペース (min/km) | 心拍数 (bpm) |
---|---|
8:00 | 130 |
7:30 | 140 |
7:00 | 150 |
6:30 | 160 |
6:00 | 170 |
MAF Method における私の目標心拍数は 140 前後である. 現在の私の走力では 7:30 min/km 程度のペースとなり,結果的に 8 km/hour となる傾向がある. 将来的には心拍数を 140 bpm 前後で維持しながら 6:00 min/km のペースで走れるようになりたいが,実現するのはいつになることやら.
エネルギー枯渇状態でのランニング
半分オカルトとなるが,体内のエネルギーが枯渇した状態で運動する生活を継続すると身体が脂肪をエネルギー源として使えるように変化するという説があるらしい. 脂肪が持つエネルギーを運動に生かせるなら,それこそ無補給でフルマラソンを走りきってなお余裕がある.
この説の真偽は定かではないが,自分自身の身体を使って試してみることにした. というわけで私は 7 月末にウォーキングを始めたときから現在 12 月末に至るまで寝起きに無補給で運動している. 起床後に水道水 (冬場は白湯) を 200 ml 飲む以外は何も口にせず 10-20 km 走っている.
12 月末時点で脂肪を使えているとは思えない. 今後のことはわからないが,無補給ランニングについて下表に所感を残しておく. 1 年後に振り返ったときに余裕を持って走れる距離が伸びているとよいのだが.
走行距離 (km) | 走行時間 (min) | 所感 |
---|---|---|
10 | 75 | 余裕がある |
16 | 120 | 空腹感がある |
20 | 155 | ハンガーノック気味,視界がぼやける |
22 | 170 | 気力だけで走っている |
2025 年の目標
ランニング習慣を維持すること.これに尽きる.