仕事

後進の育成や引き継ぎに注力した一年間だった. 2022 年まではいわゆる一人情シスとして業務を行っていたが, 2023 年は 2 名を採用して体制を強化した.色々あったが無事に私がいなくても定常業務が回るようになった.

昔から私はいつ自分がいなくなっても会社が困らないようにしたいと考えながら日々の業務を行ってきた.しかし担当者が自分一人しかいない状態では限界があった.今年の増員によって真にメンバーの誰がいつ休んだり退職したりしても問題ない状態を整えることができた.

2024 年は次のステージへ.

私生活

半分仕事ではあるのだが,今後のキャリアを考えるために色々と活動していた.自分が今後の人生で何をしたいのか見つめ直したり,本を読んだり,職務経歴書を更新したり,他社さんと話したり…….

長らく一つの会社で働き続けていたために,改めて振り返ると考えることが多すぎて疲れた.毎年ブログに振り返り記事をしたためてはいたが,キャリアの観点から見ると話は変わってくるわけで.長年の内容を一度に振り返ることは大変であるため,今後は少なくとも年に一度は職務経歴書やポートフォリオを更新していきたい.

読書

ここ数年の業務を振り返るとアウトプットに偏っており,自身の経験値という貯金を使う一方だったように思う.そろそろインプットしないと餓死しそうな危機感を覚えたこともあり,読書を通じて少しずつ自分の手札を増やしていくことにした.

以下は 2023 年に読んだ書籍と,当該書籍を読んだ理由や感想である.なお,別の独立した記事で言及した本は除外している.

  • 恐れのない組織
    • ありがちな誤解として「心理的安全性が高い = ぬるま湯のような環境」と考えている人がおり違和感を覚えたため,心理的安全性の原典を当たることでその内容を確認した
    • 心理的安全性が高い環境とは,互いに何でも言い合える上に,発言したことが自身への不利益とならない環境と言える
    • 心理的安全性を正しく理解して安全性が高い環境を作るためには,当事者全員が議論の作法を身に付けていることが前提となるように思われる
    • 例えば,もしも何かしらの意見に対して反対意見が出たときに反対意見を攻撃と見なすような環境 (まともに議論できない環境) では,おそらく心理的安全性が「ぬるま湯のような環境」と誤解されると思われる
  • TIME OFF
    • ワークライフバランスを考える上でのヒントになることを期待して本書を手に取った
    • ただただ著者の主張を通すための材料として偉人や有名人の言葉が引用・利用されているような内容が散見され,正直なところ著者に対する印象がよろしくない
    • カイロスとクロノスの話はよかった
  • なぜ人と組織は変われないのか
    • 私は長い人生を生き抜くためには自分自身が積極的に変化していくことが求められると思っており,それと同時に変化に対する静止摩擦力の大きさを実感することもある
    • 「変われない」ことの科学的な理由を知りたいと思い本書を手に取った
    • 免疫マップの考え方にはなるほどと思わされた
    • 私自身は現在「変われない」状態ではないが,もしも変わりたくても変われない状態に陥った際には自身の免疫マップを作成して対応したいと思う
  • システム設計の面接試験
    • IT エンジニア界隈で良書と話題になっていたため購入した
    • 面接試験というタイトルが誤解を生みそうではあるが,要はシステム設計をする際にどのように関係者にヒアリングして要件を詰めていくかという話だった
    • 具体的なサービスを題材として話が進行するため内容を理解しやすかった
    • 自身が過去に手がけたことがある内容が出てくると「そうなるよね」「そこ大事」など共感することが多く,また未経験の内容では「なるほど」と頷くことしきりだった
    • 本書は読者側の経験値に関係なく楽しめると思う
  • プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本
    • 一般論としての PM の仕事について知りたくなったため読んだ
      • 仕事の経験はどうしても所属組織によって偏りが生まれるため,様々な現場を経験した著者による最大公約数的な内容を知りたくなった
    • 読んでみると,私がこれまでに経験したことと大きく乖離していない内容だった
    • 一方で,私の経験は自社開発がほとんどだが,本書で想定されている布陣は発注と開発と PM が全員別の組織に属しているようであり,私の経験と比較して複雑な環境だった
    • 本書は「プロジェクトを進める上でこういうことを考えておけるとよさそう」と頭の中に地図を描く上で役立つ一冊と言える
  • THE MODEL
    • 私のこれまでの人生で関わることが少なかったマーケティングやセールスの分野について知りたいと思い手に取った
    • 自分の知らない分野ではあったが,認知拡大やリード獲得などの諸々のステップは採用活動に通ずるものがあり納得した
    • 私は職業柄 SaaS を導入してきた経験が多いが,その際に行われた SaaS 側から私への働きかけがまさに THE MODEL に記された内容だった
      • 例えば,私が SaaS のトライアルプランで検証を始めると,しばらくしてから先方の営業からコンタクトがあり,その営業を通じて先方の開発者やテクニカルサポートを巻き込んで検証を進め,具体的な契約が進むと営業からオンボーディング担当者にバトンが渡され,その後オンボーディング担当者からカスタマーサクセスに引き継がれるといった流れは珍しくない
    • 実体験のある事柄が,その背景にある考え方や事情を交えて説明されており,読んでいて大変納得性のある書籍だった

というわけで 2023 年は本を読む習慣ができた. 2024 年も引き続き本を読んでいきたいと思う.