まとめ

  • Google Cloud 特別トレーニングプログラム E.G.G. Japan #7 に参加した
  • プログラムを通して Google Cloud の体系的な知識を獲得した
  • Google Cloud 認定資格 Professional Cloud Architect を取得した

E.G.G. とは

  • Expert of Google Cloud for Gaming
  • ゲーム業界で働くエンジニア向け Google Cloud 特別トレーニングプログラム
  • 招待制プログラムであり Google Cloud Japan と付き合いのあるゲーム業界の会社に声がかかる模様

プログラム内容

講義

  • Google Cloud の概要やベストプラクティスを Google Cloud Japan のエンジニアが解説する
  • セッション開催中に投稿された質問には Google Cloud Japan のエンジニアが直接回答する

自習

  • 提供された教材 (Coursera のオンライン学習コース) を進める

修了条件

以下の 2 つから選択できる.

私は資格取得 (Professional Cloud Architect) を選択して条件を達成した.また,条件を両方とも満足すると特別賞として記念品が贈られるとのことで,私は後者の条件も達成した.

講義

参加必須のセッションと任意参加の補習セッションが交互に開催された.

開催日内容
2023-04-05(必須) Google Cloud の基礎
2023-04-19(任意) Professional Cloud Architect 公式模擬試験を解いてみよう
2023-05-10(必須) Google Cloud の人気のマネージドサービスを使いこなそう
2023-05-31(任意) Professional Cloud Developer 公式模擬試験を解いてみよう
2023-06-14(必須) Google Cloud で作るゲームアーキテクチャ
2023-06-28(任意) Google Cloud の AI/ML ソリューションのご紹介

講義の内容について,一般的なクラウドアーキテクトの文脈では既知の事柄が多かったと思う.私はすでにクラウドの経験があったため若干の物足りなさを感じた.一方で Google Cloud の流儀を知る意味では有益だった.とりわけ私は AWS 脳だったため,初回の講義で AWS と Google Cloud の違い (単語の意味や概念の違い) を把握できたことは,その後 Google Cloud を学んでいく上で大いに役立った.

講義を通して「Google Cloud の公式ベストプラクティスはマイクロサービスをフルマネージドサービスで構築することである」というメッセージがひしひしと伝わってきた.とはいえ,マイクロサービスは Google が提供するような大規模ソフトウェアであれば導入効果が大きいと思われるが,一方で導入して負債になった事例を目にすることも少なくない.開発組織やプロダクトの規模によるとは思うが,個人的にはよほどの事情がない限りはモノリスで作る方がよさそうに思っている.また,後述の認定試験では「いかに Google のベストプラクティスに沿うか」を問われる傾向にあるが,実際の開発では先述のマイクロサービスのように Google の流儀から外れることが適しているケースが少なくないように思う.

自習

知識の獲得

E.G.G. から Coursera の学習コースを無償提供していただけた.推奨されたコースを受講して Google Cloud を一から学び直した.私は実務で BigQuery の周辺技術を用いた開発を行ったことはあったが,他のサービスや Google Cloud の全体像についての知識や経験は乏しかった. Coursera のコースを通して Google Cloud の体系的な知識や獲得できたことは僥倖だった.また, Coursera では座学だけでなく演習も設けられていたため,実際に Google Cloud のコンソールを操作して各種サービスを触ることで知識を定着させることができた.

平日の夜間や休日に少しずつ学習を進め,以下の 5 コースを約 6 週間で完了した.要領がよければ休日 1 日で 1 コースを完了できる分量かと思われる.

また,公式ドキュメントに目を通して理解を深めた.

試験対策

先述の通り私は E.G.G. 修了のために Professional Cloud Architect の認定試験に合格する必要があった.いくら知識を蓄えたとて試験問題を解けるとは限らないため,入念に準備をして試験に臨むことにした.

まずは公式模擬試験や Coursera の試験対策コースで試験問題の雰囲気を掴んだ.また,試験で実際に使用されるケーススタディが公開されているため事前に目を通した.

その後,間違えた項目や自信を持って解答できなかった項目について,関連する公式ドキュメントや Coursera のコースで復習して知識を定着させた.

試験

申し込み

受験するためには試験に申し込む必要があり,主に登録料,登録氏名,試験会場について意識する必要があった.

まず登録料について. Google Cloud の Professional 区分の試験を受けるためには $200 かかる (2023 年 6 月現在). E.G.G. 参加者には $200 分のバウチャーコードがプレゼントされたため私は費用負担なしで受験できた.

次に登録氏名について.日本人は日本語ないしは英語で氏名を登録するケースが多いと思われる.試験当日は本人確認のために身分証明書を 2 種類提出する必要があり,登録氏名と身分証明書の氏名が完全に一致していなければ受験できない.氏名を日本語で登録した場合は日本語の身分証明書が必要となり,英語で登録した場合は英語の身分証明書が必要となる.必ず自分が持っている身分証明書に記載された文字で登録する必要がある.特に氏名に旧字体など特殊な文字が含まれる場合は要注意と思われる.私は氏名を日本語で登録し,運転免許証と健康保険証で本人確認を通過した.

そして試験会場について.試験はテストセンターないしは自宅で受けることができる.自宅受験は環境整備が手間のため私はテストセンターを選択した.テストセンターは会場によって試験の開催日が異なるため自身のスケジュールにあわせて会場を選ぶ.私は近場の会場では試験が月一開催であり都合が合わなかったため,頻繁に試験が開催されていた隣の都道府県の会場まで足を運んだ.

受験

試験当日は試験開始予定時刻の 30 分前に会場に到着したが,受付の方曰く「今は空いているのですぐに受験できますよ」とのことで早めに受験させていただいた.試験時間は 2 時間で,前半の一時間で一通り解答して後半の一時間で見直しを行った.焦ることなく余裕を持って解答できた.

難点として,私が受験したテストセンターの問題なのか日本中のテストセンターで同様なのかは不明だが,試験用 PC のフォントが明らかに日本語用フォントではなく文字の読みづらさを感じた.加えて試験問題や解答の和訳が一部あやしかったこともあり,なかなかに目と脳が疲れる試験だった.聞いた話だが AWS の試験では受験中に問題文の言語を切り替えられるそうなので,同様の仕組みを Google Cloud の試験でも取り入れとほしいと思った.

試験終了後に速報で「合格」と表示されたので一安心した.

試験結果と振り返り

試験の正式な結果は通常は受験後 7-10 日で届くとのこと.私の場合は試験の翌日に合格通知が届いた (が,通知メールがスパム扱いされていたため気付いたのは二週間後だった).

私は色々と試験対策をして合格したが,正直なところ何かしらパブリッククラウドの実務経験があれば対策せずに試験を受けても問題次第では合格できると思われる.私自身も実務経験は AWS が中心だったが,その経験や知識を用いて Google Cloud の試験を解くことはできた.ただし,出題にかかる運の要素を排除して確実に合格できるようにするためには試験対策が求められるだろう.なお,これはあくまで Google Cloud の経験が少ない場合の話であり,実務で頻繁に Google Cloud を触っていて常に最新情報を仕入れているような人であれば,何の準備もせずにふらっと試験を受けに行っても合格できると思われる.

おわりに

試験に合格してプログラムの修了式を迎え,無事に E.G.G. #7 を卒業した.E.G.G. 運営事務局からは修了特典グッズとして特製パーカーとポーチを受け取った.また, Google Cloud からは資格取得の特典グッズとして特製マグカップを受け取った.

Google Cloud に関する最低限の知識を得られたので,今後は実際に手を動かして経験を積んでいきたい.とはいえ現職において実務で Google Cloud を触る機会はほとんどないため,プライベートのプロジェクトで少しずつ触っていきたい.早速ではあるが先日このブログを Google Cloud 上に構築し直したため,その内容を近いうちに記事にしたいと思う.

プログラムを通じて知識や技術の面だけでなくモチベーションの面でもよい刺激を受けることができた.貴重な機会を提供してくださった Google Cloud および現職に謝意を表する.